Wellsite Visit(シェールオイル/ガス採掘所訪問)

1年生のTSです。Student Clubの一つであるEnergy Finance Group主催でシェールガス・オイルの採掘所を訪問する機会があり、前々からエネルギー産業の聖地テキサスに来る以上は訪れてみたい場所の一つだったため喜んで参加してきました。
今回訪れたのは、ダラスを拠点とする同族系エネルギー開発企業が管轄するEagle Fordシェール油田のフラッキングサイトとドリリングサイトの二つで、Austinからはバスで片道3時間ほどテキサス州の南西へ走ったところにあります。現場は、ヘルメット・安全靴の着用がマストな危険な現場ですが、トランプ政権の追い風を受けてかどこか活気に満ちているように見えました。Drill, Baby, Drill!!(現場には米国・テキサス州・トランプの旗が文字通りはためいていました…)

フラッキングサイト
フラッキングとは、日本語でいうと「水圧破砕」と訳され、シェールガス・オイル採掘の最も特徴的な過程といえます。垂直掘削・水平掘削を行いシェール層に到達したのち、水・砂(プロパント)・少量の化学物質を混ぜ合わせた「フラクチャリング流体」を高圧で坑井内に注入します。これにより、地下の硬いシェール層に人工的な亀裂(フラクチャー)が多数発生します。注入された砂粒は、この亀裂が閉じてしまわないように隙間を保持する役割を果たします(プロッパント機能)。
水圧破砕によってできた亀裂を通って、シェール層に閉じ込められていたガスやオイルが坑井内に流れ出し、地上へと回収されます。フラクチャリング流体の一部も地上に戻ってきます(通称フローバック水)。地上では、回収されたガスやオイルが分離され、処理施設やパイプラインへと送られます。戻ってきた流体は処理され、再利用されることもあります。
現場には重機のほか、水を送るポンプ車、薬品等を満載したタンク車、それらを混合するブレンダー等が何台も並んでおり、エンジン音やら作業音やらでほとんど何も聞こえず、各機器が黒煙をモクモクと吐き出していました。

ドリリングサイト
ドリリングサイトでは、地下深くに向かって垂直に井戸を掘り進めます(垂直掘削)。この深さは、シェール層が存在する地下1,000mから5,000mにも及ぶことがあります。掘削にはドリルビットとドリルパイプが使用されます。掘削された井戸には、崩壊を防ぎ、地上への経路を確保するためにケーシング(鋼管)が挿入され、セメントで固定されます。
外観的にも、実際に行われている作業も、通常の石油油田開発に近く、自分の脳内ではアルマゲドンが流れていました。見ていると尋常じゃない量の泥水が現場では発生しており、作業員の方もほとんど泥まみれという感じです。見学した際は3,500フィートほどに差し掛かったところで、まだまだドリル半ばだそうです。
今回は水平掘削の現場には行っていませんが、そちらでは垂直に掘り進めた後、シェール層に到達したあたりで、ドリルの方向を水平に変えて掘削を続けます。シェール層は水平方向に広がっていることが多いため、水平に掘ることでより多くのシェール層にアクセスし、回収できる資源量を増やします。水平方向の掘削距離は2,000mにも及ぶことがあります。


所感
非常にエキサイティングな体験でした。今まで様々なエネルギー系プロジェクトに資金提供してきましたが、どちらかというと後工程ばかりだったため開発段階のプロジェクトを見られたのは大変貴重な経験でした。米国が、シェール開発を追い風に、エネルギーの輸入国から輸出国へ転換したことは有名ですが、トランプ政権の追い風も受けて現場の作業員たちからはそれどころじゃない勢いを感じます。まさしく米国の力の源泉の一つになっており、それを支えているという気概が見て取れました。MBAの学びという点ではCleanTechやSustainabilityといったテーマも非常に重要ですが、こういった現場を肌で感じられるのも、エネルギー産業と距離の近いMcCombsならではと言えます。