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Blog 2025/01/12

McCombsとClean Tech

2年生(Class of 2025)のYKです。受験生からも質問をいただくことがありますので、今回はMcCombs生がアクセスできるClean Tech関連のリソースをご紹介します。また、その中でClean Tech Groupのクラブ活動の運営に携わった経験にも触れたいと思います。

学校を選ぶ時に、その学校のユニークな特徴が、自分のキャリアに役立つかどうかは重要な要素と思います。私にとってはMcCombsがClean Tech関連の授業やクラブを持つことが進学先を選ぶ決め手となりました。そして、入学してテキサス大学としてのリソースの多さや周辺の企業との関係の強さを知り、改めて良い選択であったと感じています。

テキサス大学オースティンのリソース

テキサス州は油田やガス田があり、採掘から発電供給や下流製品へのサプライチェーンがあります。また、風力や太陽光にも恵まれており、再生可能エネルギー発電へのシフトが最も進んでいる州です。その州にあって州立総合大学の本部であるオースティン校はエネルギー業界や関連業界に広く人材や技術を提供しており、従来のOil & Gasや電力会社から再生可能エネルギーのデベロッパーまで様々な企業と繋がりがあります。

(1) Energy Institute https://energy.utexas.edu/

大学内ではSchool of Engineeringや School of Geoscienceが技術面を、School of Lawが法律や政策面、そしてMcCombs (School of Business)が事業として総合的にカバーしています。Energy Instituteはエネルギー関連の学内横断組織で、様々な学習リソースを提供しています。以下に例を紹介します。

UT Energy Symposium: 学内外の様々な専門家が講演します。オンライン・対面のハイブリッドで毎週開催され、録画視聴も可能。

UT Energy Week: 年1度開催され1週間続く大イベントです。学内や産学連携の様々な研究開発テーマに触れられるほか、産業界や学内の専門家たちの討論が多く開催されます。エネルギーに関わる話題の最先端に触れることができます。

TLV Energy Venture Practicum: エネルギー関連のスタートアップ企業の課題に対して、Engineering/Law/Business schoolの学生グループで取り組むプログラムです。

(2) KBH Energy Center https://www.mccombs.utexas.edu/centers-initiatives/kbh-energy-center/

主に企業との共同イベントやプロジェクトを運営している組織です。Annual Symposiumでは、エネルギー関連企業のエグゼクティブや国会・州議院による講演や討論に触れることができます。また、産業や学術界の先輩からメンタリングを受けるプログラムも運営されています。

(3) Webber Energy Group https://webberenergygroup.com/

School of EngineeringのWebber教授が率いるグループで、企業の後援を受けて実用的なテーマに多く取り組んでいます。エネルギーについて基礎から包括的に学べるオンライン学習ツールであるEnergy 101や、それをベースとして最新のトレンドまで広く学べる授業Energy Technology and Policyを提供しています。エネルギーの消費先として食料や水、そして循環型社会への取り組みにも力をいれています。

McCombsのリソース

Energy Technology and Policy:前述した工学部の授業です。様々なエネルギーの基礎や利用と技術の歴史、各エネルギー源やその利用手段の良し悪し、現状と課題、技術や政策の動向を包括的に中立な視点で学ぶことができます。

Energy Development and Policy: McCombs School of BusinessのFinance系の教授であるButler教授やAdel教授が提供する授業で、再生可能エネルギー発電プロジェクトの企画を行います。工学部/法学部の学生とともにグループを組み、McCombs生はグループのgeneral managementとして最終成果物として、(仮想)投資家への提案を行います。Bulter教授はCleanTech GroupやFellow programの顧問教授でもあります。

Sustainable Operations:Supply Chain Managementも教えているGilbert教授が提供する授業です。気候変動や生物多様性の喪失、資源枯渇など、従来のビジネス慣行がもたらしている課題に対して、サプライチェーン上で現状やこれからの行うべきことを学びます。

これらの他に、エネルギー企業でのFinance戦略の授業もあります。また、後述するClean Tech Fellow Programも選択科目の1つです。

McCombsの学生クラブ (1)- CleanTech Group

Clean Techに関わるキャリアに関心ある学生の集まりで、就職活動のための互助組織です。20-30名/学年が在籍しており、うち7名がPresidentやVPとしてグループを運営しています。主だったサービスをご紹介します。

Career: 卒業生とのネットワークイベント(数回/学期)、インターンやフルタイムポジション募集案件の共有(不定期)

Clean Tech Fellow Program: MBA1年目の春学期内に企業の実際の課題に取り組む機会を提供しています。パートナー企業は再生可能エネルギーのデベロッパー、サプライチェーンの脱炭素を目指すリテール企業、低炭素/脱炭素製品やサービスを提供したいスタートアップなど様々です。パートナー企業はクラブ内の担当者がアレンジします。約20のパートナー企業があり、応募学生は選抜プロセス・マッチングプロセスを経て、いずれからの企業と1 on 1で課題に取り組みます。コミットする時間は約10hr/週が目安で、選択科目の1つとして単位参入されます。給与支払いはありません。

私も低環境負荷な道路建設の材料を提供するスタートアップ企業でCTFを行いました。化学産業出身者として新素材を提供することに関心があったことや、小規模な会社でのプロジェクトを経験したいと思ったことが決め手でした。この会社はCEOと製造所に数人の小さな会社であり、プロジェクトの依頼者であるCEOとスコープを定義することが開始しました。会社の持つ製品群と強みを理解し、潜在顧客の中からどの層にアプローチするか、どう関係を作るか、という主にはマーケティング戦略&実行準備に携わりました。柔軟にスピーディに動き回れるところは大変新鮮である一方で、指導を受けたり、業界を理解することは(CEOの多忙さもあり)限られてしまったというのが所感です。

他の大きなパートナー企業でCTFを行ったクラスメートは確立された組織で、かっちりしたスコープとサポート体制の中でプロジェクト経験を積めたようでした。一方で、単に労働力として使われてしまったとの声もありました。どちらも良し悪しありますので、目的意識と、機会への正しい期待をもって臨むことが大事だと思いました。

Education: Clean Tech関連の知識を学ぶBootcampや、学内外の学習リソースの紹介、学外の学生コンペの斡旋やその他のリソースの紹介を提供しています。

Trek: 毎年数回の企業訪問機会を提供しています。オースティン近郊の再生可能エネルギー企業の現場やオフィス訪問や、他都市に数日の遠征を行っています。

Engagement: 飲み会などのグループメンバー間や卒業生との交流の場を提供したり、LinkedinやInstagramの運営もしています。昨年は希望者に卒業生との1on1メンタリングプログラムを開始しました。

これらのサービスはMcCombsの学生が運営しており、統括するPresidentのもとで担当のVPが企画・運営をしています。他のクラブ活動も同様です。私はVP of Educationを担当しました。こちらは余談にて。

◆McCombs内の学生クラブ (2)– Energy Finance Group

エネルギー企業のFinanceポジションや、Financial Service業界でエネルギーに特化した企業への就職を目指す学生の集まりです。卒業生を招いて講演をしたり、関連企業とのネットワーキング機会を提供しています。EFGの学生はIB (Invenstment Bank)を目指す学生達のサブカテゴリーであり、IBの就職活動を協力して乗り越えながら、更にこの業界への関心を共有して協力しあっています。

余談- 学生クラブ運営への参画で得られたもの

CleanTech GroupのEducation担当Vice Presidentを1年勤めました。各クラブのリーダーシップポジションは立候補制であり、部員による選挙で選びます。MBA1年目の11月に選挙があり、新体制は1年目の春学期(1月)から始まり1年間活動します。

(動機) 自分なりに学校への貢献をしたいと思い、どこかのクラブで運営に関わりたいと考えていました。その中でMBA前に化学産業でGHG排出削減プロジェクトを担ったことがあり、Clean Techへの理解と関心があることからEducation担当VPに立候補し当選しました。

(振り返って) クラスメートや卒業生(企業人)を知る機会が増えます。行事は自由参加ですので、クラブメンバー同士の付き合いには濃淡がありますが、運営メンバーであると自然と顔が広くなります。特に他の運営メンバーとは週1で会議をするので、良い友人になれたと思います。

Clean Techを広く勉強する動機付けになりました。クラブメンバーの関心が集まる領域について調べたり学習リソースをまとめて紹介するプロセスは自分のためにもなりました。

一方で、自由に使える時間は随分と減りました。特に2年生秋学期の選択科目5つ(標準的な授業数)はケースベースのクラス内討論やグループプロジェクトが多く、時間をいくらでも使いたくなるものでした。その中で、同じくやることがいくらでもある教育VPを担うことは自分には苦労するものでした。VPとしての後悔は、クラブ内の一般メンバーをもっと行事企画側に巻き込めば色々できたと思い、次代のVPに引継ぎを済ませたところです。

全般としてやって良かったと思います。決心が必要なのは1年生秋学期中盤であり、その先の自分の負荷が見通せない時期でしたので、自発的な活動を増やすことにためらいはありました。ただ、振り返れば他の運営メンバーも同様でした。多様性あるフラットな組織で目的を共有し、理想的な活動の実現は時には難しくとも、担当を越えて協力しあって次善を目指して活動し、グループ運営のバトンを繋いでいくことは、クラブ運営ならではリアルな社会人らしい経験であったと思います。

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