McCombs × Leadership
CO2025のHYです。今回はMcCombsの名物プログラムの1つであるFellowsの活動がテーマです。私が参加しているCenter for Leadership and Ethics Fellowsについて体験を共有します。
Fellowsとは?
McCombsにはHands-on Experienceの一環として、カリキュラムと課外活動の中間あたるFellows Programs・Investment Fundsという選抜プログラムが存在します。1年生の最初のFall Semester中に選考があり、翌Spring Semesterより本格的に活動がスタートします。内容は各プログラムにより様々ですが、各選択領域に関連した協賛企業でのインターンシップやコンサルプロジェクトを実施しているところが多いです。詳細はこちらを参照ください。https://www.mccombs.utexas.edu/graduate/mba/full-time-mba/academics/fellows-groups-and-funds/
また、同じく2年生のYKがCleanTech FellowsについてBlogの中で触れているので、こちらもぜひご覧ください。https://mccombs-japan.com/mccombs%e3%81%a8clean-tech/
Center for Leadership and Ethics Fellowsとは?
Center for Leadership and Ethics (以下CLE) はUT学生のリーダーシップ教育・開発を目的とした学内組織です。MBAを中心にビジネス系の各学部に跨る横断的な機能を備えているのが特徴です。研究と論文執筆に時間を割くリサーチャー色の強い教授もいれば、MBA生や学部生向けのカリキュラムに携わるレクチャー色の強い教授もいます。教授の他にCLEの運営に携わる大学職員もいます。他にもUT学生向け倫理教育コンテンツ(e-learning)を開発したり、プロスポーツチームと連携してUTアスリートたちの動作解析をするラボを運営する等、多種多様な活動が展開されていて私も把握しきれていないのが実情です。
そんなCLEが母体となったFellowsプログラムとなっていますので、他のFellowsのように就活に直接結びつくようなスポンサー企業とのコンサルプロジェクトはありません。リーダーシップという抽象的な概念を理論と実践を通じて自己理解と共に学びを深めていくプログラム設計となっています。
活動内容について
CLE Fellowsの主な活動は以下の3つで構成されます。
1) Workshop (1年目のSpring Semesterよりスタート)
- Conflict management
- Giving/receiving feedback
- Big 5/emotional intelligence
- Empathy and ethics etc…
2) Peer Leadership Coach (2年目のFall Semesterよりスタート)
- 入学したばかりの1年生をサポートする目的で設計された活動で、通称PLCと呼ばれています。CLE Fellowsの目玉であり、これに携わることをモチベーションに応募してくる学生がほとんどです。
- 1年生のStudy Teamに2年生のPLCをアサインし、コーチングを通じてアカデミック面を中心にサポートします。2年生にとってはWorkshopで獲得したスキルや経験を実践する機会でもあります。
- 主なアクションはアサインされたStudy Teamの各メンバーとの1 on 1やStudy Team全体でのセッション、必要に応じた個別のフォローアップとなります。授業が始まるとStudy Team単位での課題に取り組むことになります。まだお互いの性格やワークスタイル、コミュニケーションスタイルが把握できていない入学初期段階では、ときに不協和音や衝突が生じることがあります。それもそれで良い学びなのですが、PLCの役割はStudy Teamがスムーズに走り出せるようサポートし、走り始めた後も1年生のリソースとして必要な支援を継続することです。最終的に良好な信頼関係が構築できるとStudy Teamに関連した話に留まらず、期末試験の対策や就活、2年生以降の授業科目に関する相談など多岐に渡る話題の話し相手になったりもします。
- そういった高いパフォーマンスを発揮するPLCもいれば、少数ながら1年生のリソースとして役に立てないPLCがいるのも事実です。理想はPLCを必要としない成熟度の高いStudy Teamですが、PLCも同じMBA生で発展途上です。1年生が支援を必要とするときにちゃんと力になれるよう、毎年PLCプログラムの改善を繰り返していきます。
- 他のFellowsが”○○Fellows”と認知されるのに対して、CLE Fellowsは”PLC”と認知されています。それ程に有名な活動の1つとなっています。
3) Guest Speaker (不定期に実施)
- CLE Fellows(=McCombs)として単独で企画する場合とCLE(=UT全体)として企画する場合の両方があります。
- Executive層のゲスト(UTもしくはMcCombsのアラムナイも多い)を呼び、キャリア形成や組織マネジメントの中で大事にしている考え方等を講演していただいています。その後のQ&Aは毎回時間が足りなくなるくらいに盛り上がります。
- 昨年の例だと、Austin発のグローバル企業であるDellのCEOの回がありました。
CLE Fellowsを通じて得たもの
MBAの目的の1つとして、リーダーシップの学びを理論と実践の両面で深めたいという思いをもっていたので迷うことなく応募しましたが、一方でプログラムが始まる前は満足いくような学びが得られるのかどうか懐疑的だったのも事実です。というのも、MBA前に10年ほど様々な国や地域で海外事業開発のキャリアがあり、プロジェクトの中で言語や国籍、宗教、文化が異なる多様なチームをリードする経験を数多く積んでしまっていました。その状態から何か新しく得るものがあるのか?と思っていたのですが、結論としては私の心配は杞憂に終わり、ちゃんと得るものがありました。以下、その一端を共有いたします。
Self-Awarenessの向上
Workshopの中で何度かSelf-Assessmentを実施しました。Strength Finder等過去に一度はやったことがあるであろう有名なものからそうでないものまで、いくつかのテストを通じて自分を客観的に捉える機会がありました。加えて、議論の中で個人の価値観に触れるような難しい議題が組み合わさることで、自分の気質や考え方のクセを改めて認識することができました。CLE Fellowsの同級生はリーダーシップ領域に関心があるだけでなく、PLCとしてMcCombsコミュニティに貢献しようという気概のある成熟したマインドセットをもつ者も一定数います。Workshopでは各自の成功体験も失敗体験も積極的にシェアしてお互いに学びを共有し合う雰囲気が醸成され、毎回楽しかったです。そういった議論の場が自分との対話を促進する壁打ちの機会となり、自己内省が促進された側面もあったと思います。ありきたりな表現ですが「今の自分を知る」ことができたことが大きなtake awayです。
Leadership of Leadershipの経験
他のFellowsと同様、2年生になる代替わりのタイミングで次期リーダーシップチームを選ぶプロセスがあります。CLE Fellowsの場合はCo-chairsと呼ばれるリーダーのポジションが2名設けられており、立候補~選考を経て決まります。私も立候補し、幸運なことにCO2025の代のCo-chairsに選ばれました。私が組織運営全体(各活動の方向性確定や次世代に向けたプログラムの改善等)を管轄するCEO的なポジション(実質の代表)を担い、もう1名のCo-chairsがWorkshopやPLCの活動で発生する日々のオペレーションを担うCOO的なポジションとして大学職員と協力しながら進めていきました。授業の課題や就活等で多忙かつ多様な価値観をもったCLE Fellowsの同級生たちを上下関係というパワー無しでまとめていくのは容易ではなかったですが、こういった人間力を鍛える経験は非常に貴重でした。また、学生の立場から学校のプログラム運営に関わることができ、自分の学びだけでなく同級生や1年生の学びが充実するためにはどうしたらよいか?という学校側の視点で物事を考える機会となったことも非常に有意義でした。
余談ですが、日本人がFellowsの代表職に就くのはもしかしたら初めてのこと?らしく、在学中に1つくらい組織運営に携わりたいなーと思っていた私の願いは十分すぎるほどに叶いました。ありがたい限りです。
終わりに
リーダーシップは時代や局面によっても変化する曖昧で抽象的な概念です。MBA生にとって待ったなしの就活で直接的に即効性のあるスキルでもないです。それでも学ぶ価値のある分野だと思ってます。
私が大事にしている考え方に「人は人によって磨かれる」というものがあります。他者から学ぶことに前向きな考えをお持ちの方は、このFellowsが合うかもしれません。
Co-chairsの仕事は卒業直前まで続きます。最後まで同級生からも今月から新たに加入する1年生からも学び続ける所存です。