Global Learning: STEP May Sweden – Driving Innovation in Society – The Swedish Context

CO2026のTSです。Springセメスター終了後の5月に参加したストックホルムでのSTEPについて書きます。過去に日本人が参加したSTEPプログラムについてはブログ投稿してありますので、ぜひご覧ください。
STEPとは?
McCombsのGlobal Learningには大きく分けてShort-Term Exchange Program (通称STEP) とGlobal Connectionの2種類があります。STEPはMcCombsの教員が引率するGlobal Connectionとは異なり、提携校のビジネススクールが主催するプログラムに参加します。提携校のプログラムにも寄りますが、世界各国のMBA生やビジネス系Master生が同じ期間に参加していますので、異国の地の馴染みのないキャンパスで見知らぬクラスメートと共にプログラムを進めていくことになるのが特徴です。
プログラム概要
Stockholm school of economics(通称SSE)で行われる2週間のプログラムになります。テーマはタイトルの通りで、米国へ来る直前はイノベーション推進に携わっていた身としては、欧州におけるイノベーションのあり方を学べる機会と期待して参加しました。キャンパスは、ストックホルムの中心部にある(米国のものと比べると)大きくはない古風な建物ですが、キャンパス内の随所にアート作品が飾られており、アートを通じたイノベーションを体現しています。


McCombsからは私を含め3名(日・印・印)が参加しており、合計で20人弱という小規模なもので、全員の名前と顔が一致するのは良い点かもしれません。SSE側からプログラム参加者はいませんが、講義の一部はSSEの学生が参加していたり、実際に講義を行っていたりしました。参加者はUSトップ校を中心に一部カナダ・シンガポール校の留学生が中心ですが、今年はやけにMichigan Rossが多くオンラインコースを含めて7人もいました。
プログラムは、通常の講義・ケースディスカッションに加え、起業家を招いてのゲストスピーカーセッション、企業・病院訪問(Ericsson・Volvo・Karolinska大学病院)、文化体験(ガムラスタンツアー・ヴァーサ博物館・スピリット博物館)で構成されます。講義メインのため、事前に読むケースの量はそれほど多くなく、16時か17時頃にプログラム終了後飲みに行ったり、街を歩き回ったり、美術館博物館を楽しんだりとストックホルムを満喫できます。


学び・気づき
①イノベーションモデルの比較
日本におけるイノベーションは所属部署で悪戦苦闘していましたが、米国に来て圧倒的物量・マーケットドリブンなイノベーションに圧倒されていました。そんな中で、スウェーデンの社会福祉制度をベースとするSocial-democratic且つCollaborativeなイノベーションアプローチを体験できたの大きな収穫でした。ご存じの通り、スウェーデンは高福祉国家であり(教育費無料・手厚い失業保険等)、いざという時は国家が守ってくれるという安心感が起業家のリスクテイクを下支えしています。
②Solution起点ではなく、Meaning起点のイノベーション
AI等の指数関数的な進化を前提とする現代においては、Solution起点のイノベーション価値は低下し、Meaning起点のイノベーションが重要になるということです。Meaningを新しく創り出すというアプローチとMeaningを再定義するというアプローチの二つがあり、Meaningを広く社会へ提示することで市場や顧客の行動を変容させます。ネスプレッソの例で言えば、単に「手軽にコーヒーを淹れる」という機能から、「自宅で本格的なカフェ体験を手軽に楽しむ」「洗練されたライフスタイルを体現する」という新しい意味を創造したことです。
③Artを通じた内省と新たな問いの想起
上記のMeaningのイノベーションは、外部の顧客の声や市場調査から直接導かれるものではなく、むしろイノベーターやデザイナー自身が、対象となる製品やサービス、あるいはそれを取り巻く社会や文化に対して深く内省し、問い直し、新しい視点や解釈を構築していくプロセスを指します。「なぜ人々は今、これを求めているのか?」「これから人々は何に価値を見出すようになるのか?」といった、抽象的で深い問いを掘り下げます。
文字通り、イノベーションのアイデアや意味が、企業やイノベーターの内側にあるビジョン・洞察・哲学を起点として生まれるため、Art作品が有効な手段となります。芸術家たちが、現代社会をどのように解釈しているのかを知ることは、自分に新たな視点・視座を与えてくれます。
所感
全体的な感想としては、非常に学びの多いプログラムで自信をもってお勧めできます。プログラムとしての歴史は数年しかなくロジが怪しい瞬間もありましたし、個人的にはおしゃれなオフィスよりは工場とかに行きたかったですが、普段つながりを持てない学生との交流もできますし、なによりストックホルムは歴史もある素晴らしい街です。私の場合は、プログラム終了後に家族で北欧旅行してきましたが、自然という観点以外ではストックホルムが北欧随一です。2年生になった時もグローバルプログラムには積極的に参加していきたいと思います。

